東京家庭裁判所八王子支部 昭和38年(少)2028号・昭38年(少)2073号
主文
少年を中等少年院に送致する。
理由
(犯罪事実)
昭和三八年六月二六日付、同年四月九日付司法警察員作成少年事件送致書記載の犯罪事実の記載を引用する。
(罰条)
刑法二五六条二項、二〇八条、二〇四条
(要保護性)
一、家庭環境
イ 実父は昭和三一年頃仕事上知り合つた女工(実父が経営する工場の工員)と同棲を始め一時は(前件調査時)殆んど帰宅せず送金も怠つた程で昭和三六年八月東京家庭裁判所で家庭調整のための家事調停をうけたがその後も情婦との関係が絶えず仕事多忙を理由にして月の半ば近くは帰宅せず工場の従業員(少年の兄宏○も会社々員)の殆んどがこの事を知つているだけでなく実母が少年等の前でこの事で父を叱責する事もあるので父母共子弟に対して威信なく指導能力が著しく欠けている。
尚実母の供述によれば実父は事業上の弱点をこの女に握られていると見られる点があり実父が情婦と完全に別れる事は相当困難と思われるので前件審判当時より幾分家庭は落着いては来ているが少年の資質、生活史と併せ考えてまだ在宅保護の能力があると認められない。
ロ 実母は上記の如く子弟の前で父の弱点を挙げて叱責する様なところがあり実父の事と併せ考えれば母だけの保護能力も著しく弱い。
ハ 実兄裕○も非行歴があり現在当裁判所の試験観察決定にもとづき友愛舎に補導委託中
二、少年の資質
知能指数は九五(新制田中BI形式)で普通であるが情意面に著しい歪曲が見られ強迫性、自己不確実性、粘着性、即行性、不安定性、気分易変性に特に激しい変調が見られ心情質変調は中程度でありY・G式性格検査、S-C-T性格検査と併せ少年の性格の矯正には収容保護が(中等少年院)必要であると東京少年鑑別所は鑑別結果通知書に述べている。
三、少年の交友関係
本件共犯者(不良高校生)調布市の所謂チンピラ、兄裕○の悪友等で交友関係は全体として著しく不良
四、少年の非行歴その他
少年は中学時代から夜遊びを始め年と共に激しくなるだけでなく女友違も多く交友関係も悪くとかく学校側の注意を引く少年であつたが、中学卒業と同時に非行が始まり昭和三七年恐喝事件三回行つて当庁の審判に付され昭和三七年一〇月三〇日保護観察の決定があつたが、その後も少年の素行はおさまらず昭和三八年三月暴行事件、傷害事件を犯し五月窃盗事件、(未送致)賍物牙保事件、恐喝事件(未送致)を犯す等保護観察も殆んどその効果が認められない。
尚東京少年鑑別所で調べ少年に無駄使いが多く家庭外での病癖怠学、無断外泊、家出、浮浪の癖がある旨報告して来ているし、少年の実父母も調査官に対して収容保護の希望を述べている。
以上綜合勘案し、少年に対しては施設に収容し、規律ある生活を通じて性格の矯正をはかる必要があると認めるから、少年法二四条一項三号少年審判規則三七条一項により主文のとおり決定する。